長沼町の伝説 -105/224page
堂の前に医王殿という額が掛られて、村人は病気平愈を祈ったという。椀或いは目の字を書いて堂に 納めると、靈験があったといわれる。
(「長沼名義考」より)
戸神稲荷神社由来 《長沼》
戸神稲荷神社は、信濃町の北にある。祭神は、石長姫命、 宇迦魂命を祀ってある。
宝暦年間、信濃町の住人、森藤十郎という刀鍛冶があった。 名刀を鍛えるため神に祈願していたが、ある夜、稲荷の神が 夢に現われ、いろいろ教えた。夢の通りに、宇戸上という所 から土を取り、鍛治の料としたところ、神の教えのように少 しも違わず、名刀ができたという。
神恩謝礼のために、この神を勧請して戸神稲荷大明神と崇 め、祀ったといわれる。この時の別当は真言宗西福寺、海心 といった。神仏混交なので本地仏を正観音菩薩を入仏したと いう。