長沼町の伝説 -114/224page
觀音様と大杉 《小中》
小中にある觀音様は、昔、大きなお堂があって、靈験ある觀音様といわれ、祭などには遠くの村から も参詣の人が集り、にぎやかであった。
觀音様の門前を通る時は、馬に乗っては通れなかった。乗って通ると、必ず、ぶんまされる(落馬)の で、降りて通ったものである。
本尊様の御姿は、黄金の一寸八分で、見ると眼がつぶれるといわれた。木戸(参道)の入口には二つの イズボ(湧水小池)があって、片方は赤い水、片方は 白い水が出ていた。この白い水には、塩が含まれてい たので、塩田觀音といわれるようになった。また一説 には塩沢觀音ともいわれる。
お堂の裏には、数人で抱えるほどの大杉が生えてい た。その後、本尊様が盗まれ、大杉も雷が落ちて、三 日三晩も燃えつづけ、お堂も一緒に、焼失したが、ま もなく、小さなお堂が建てられた。
明治の頃、村人が大杉の根を薪(たきぎ)に束ねたところ、三 棚(一棚は、巾六尺高さ三尺)もあったといわれる。昭和