長沼町の伝説 -127/224page
この周辺を長光寺屋敷と呼んでいる。長光寺橋という 地名も、その当時、橋があって渡っていたものであろ う。
前九年の役に、八幡太郎義家公が来たときお守とし て肌身に着けていた薬師如来像を、戦勝祈願、武運長 久祈願のために、長光寺に納めていったという。
後に長光寺が火災になったとき、佐藤現順という医 者が、御本尊を預り守ったという。この人は、後に薬 師堂を建てて、厚く信仰したといわれる。病気手癒を 祈願する人たちが、村中はもちろん、他村からも沢山 来たという。祭日は四日七日で、佐藤家では、参拝者に餅をふるまった。
この森は榎、ふじ、百日紅の大木が生え繁って、うっそうとしていたが、他家に移ってからは、荒れ はてて、今では小さな石の祠が残っているだけである。
御本尊は由あって、現在、松川一二氏宅に安置され、信仰されている。長光寺という寺は、長楽寺の 前身であるともいう。
(話者 佐藤春雄)