長沼町の伝説 -130/224page
磐女神社とつなぎ松 《矢田野》
永祿二年、矢田野城主、矢田野阿波守為房が勧請したといわ れる。始め磐女大明神と称した。祭神は磐媛命或は磐筒女神と いわれる。御神体は、坂上田村磨が矢坦の地で、天に祈って射 た鉄製の鏃といわれている。
境内は風光明媚であるが、とくに神橋の下は河床平滑の岩磐 で、岩瀬川の清流が岩を洗っている。境内には、また珍らしい つなぎ松があった。幹の上部が二又に分かれ、その上一メート ルほどの所より枝が出て、別の幹に食い込みつながってしまっ た。村人が「つなぎ松」、縁結びの松として讃え、知られた。
古くよりつなぎ松が発見されたと朝廷に報告されている。連 理の松に関しては『続日本記』『三代実録』『丈徳実録』などに記載されている。惜しいことには、昭和初期 の台風で、片方が枯れ、近年枯れて伐採されてしまった。
(「桙衝村誌考」より)