長沼町の伝説 -182/224page
仕事が終って、夕方、上の地蔵様にお詣りに行ったら、御堂の縁に泥の足跡がついていた。いつも信 仰している地蔵様が、子どもの姿となって手伝ってくれたのである。それからこの地蔵様を荒くれ地蔵、 あるいは鼻取地蔵と呼ぶようになった。地蔵様が足を洗った「イズボ」はいまも残っている。
(話者 斉藤新一)
鼻取地蔵 《小中》
小中上に御寺家清水がある。その傍に護真寺の末寺で無住庵の尼寺があった。その尼寺に、薬師様や 地蔵様が祀られていた。寺は無住になってから荒れ果て、明治の末には朽ち果ててしまった。
現在、薬師様は大須賀長安氏宅に、地蔵様は、深谷 利秋氏宅に祀られている。
昔、老夫婦二人だけの農家があった。田の代かきを していたが、夕暮れとなり、夕飯のしたくに婆さんが 帰ってしまった。代かきは予定の半分もできなかっ た。困りきっている爺さんのところに、小僧が来て、 鼻取りをしてくれるという。手伝ってもらうと、みる みるうちに終ってしまった。御寺家清水で足を洗って