長沼町の伝説 -192/224page
小御垂の森の枕返し 《長沼》
小御垂の森(小乱の森)の枕返しとは、いかなる神の仕業か、または魔神妖怪のなせる仕業か。神社の 拝殿に枕して寝るといつの間にか東枕は西枕となり、北枕は南枕になるといわれる。また時折、社中鳴 動することもあるといわれた。これ神明の威厳のいたすところか。妖怪は古今見た者はないといわれる。
古来、枕返しの伝説は小乱の森に限らず、本念寺の御堂に寝た者もこの枕返しに逢ったという説があ る。この現象は神社仏閣に時にふれて見られるので、神仏のなすところか幽界妖怪のなせる業かはつま びらかでない。
(「長沼名義考」より)
滝の廻り地蔵様 《滝》
滝部落に、大永山青龍寺の大日坊が高野山から背負っ てきたと伝えられる陶造の地蔵菩薩像がある。この地蔵 様は、いつごろだれの手によって造られたか詳らかでな いが、日本国中の土で造られたものであるといわれる。
この地蔵様を村人は子育ての廻り地蔵様といって、各 家を持ちまわる。各家々に四、五日ぐらいずつおかれ、