長沼町の伝説 -205/224page
和尚は「喜哉 喜哉 大魔比丘速に成仏為せよ」と小僧と下僕を引連れ、ゆうゆうと寺に帰ったという。
(「長沼名義考」より)
弥吾坂の何身の妖怪 《長沼》
弥吾坂(長沼より小中に通ずる旧道)には、何身という妖怪 が出たという。狐とも狸ともいうが定かでない。この化物は 往来の人の前に、女の姿で出て「何の身になるべきぞ」とく り返し、くり返し悲しげに語るという。よって何身とは化物 に付けた字名であるという。
ある人、小中村からこの坂を越す時、この何身に出会った が、豪気な人なので少しも驚かず、「何の身にでもなれ」と言 い捨てると、妖怪も何もせず近寄らなかったという。
この化物の悲しみ叫ぶ声を聞いた人は数あるといわれる。
(「長沼名義考」より)