長沼町の伝説 -206/224page

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薬師堂の歩き妖石 《長沼》

 薬師堂の妖石は、薬師堂の西北の竹薮の中に、梵字が刻まれている六尺余(約二メートル)の平な石で、 これを俗に化石と呼んでいる。

 その昔、応仁の頃、この石、夜になると、大きな蝦蟆((がま)となって這い歩き、その大きさ九尺余(二、七 七メートル)もあり、眼は大鏡のごとく、口は鰐のごとく、見る者腰を抜かさんばかりという。またあ る時は、この石、変じて城山より天神まで、天に黄色な布を引き、また白布のごときものを引いて人々 を驚かしたといわれる。

 西光寺の開山、舜應法師比の奇妖を止めんがため、真言秘密の法をもって梵字を刻み、妖怪を封じ込 めたという。

 それ以来、化石は歩かなくなったといわれる。

        (「長沼名義考」より)

戸崎の小豆とぎ 《小中》

 平藤内屋敷の裏、北側を流れる小川に、石橋がかけられていて、戸崎の橋と呼んでいる。この橋の下 には、昔から「小豆とぎ」という化物が住んでいて、夜になると『小豆とぐべか、人取って食うべか、ち ゃっく ちゃっく ちゃっく ちゃっく』と聴こえるという。小豆とぎの正体は、年老いたイタチであるといわれている。


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