長沼町の伝説 -207/224page
夏の夜など通行人の前に、大入道になって立つともいわれる。
(話者 古川明)
臼雅堂の由来
臼ケ堂には、臼転ばしという化物がいたという。狐とも貉とも狸ともいわれる。夜な夜な向いの御宅 白景のあたりより、大臼を転ばすような「ゴロ ゴロ ゴロ」という物音が聞こえるという。
ある時、一個の臼に似たものがどこから持って来たのか、 川の岸に置かれていた。村人が集って見たが、木でもなく、 石でもなく、判断できなかった。
時折しも、無底禅師、奥州に下向した。この臼を見るため この地に、錫杖を留めて御堂を建て、この臼を台として、上 品上生の阿弥陀仏を安置して、臼雅堂と号したといわれる。 以来、大臼を転ばす音は聞こえなくなったといわれる。
時遷り変り、いつしか御堂も臼も失って、今は昔の物語り となり、臼ケ堂の地名だけが残っている。
(「長沼名義考」より)