長沼町の伝説 -215/224page

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稲虫送り

 木之崎東屋敷と泉田の境にある壇は、昔から稲虫送りの壇といわれている。村の青年は、毎月二十四 日を親睦の日と決め、順番に各家庭の精進料理をご馳走になる。

 旧六月の番に当る家では、二十三日には、青年たちが自分の料理で一泊する。二十四日は当番の家の ご馳走で、獅子に赤飯を供え、部落内の安全を祈り、青年一同も、赤飯をご馳走になる。午後は、愛宕 神社に獅子とともに参り、部落安全の祈願をする。それから部落各戸を獅子とともに赤飯を配りつつ、 家内安全の悪魔払をする。

 二十五日は、青年たちが稲虫送りの行事をする。各戸より螟虫の害を受けた稲を数本ずつ持ち寄り、 かねてから準備して置いた竹笹に結い、心をこめて虫送りの祝いをする。午後、この竹笹を稲虫送り壇 に立ててくる。その日の内に泉田の青年たちが、東隣の村端まで送って行く。

 虫送りの行事はすたれたが、青年たちの親睦の二十四日の行事は今も続けられている。

        (話者 吉田庄一・吉田一郎)


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