ふるさと昔話 - 001/056page
八幡太郎義家の話
第一話 額取山の戦い
第二話 ふるえ病
第三話 牛仏のたたり
第四話 七色清水
第五話 熊野神社の神泉
第六話 神馬空を飛ぶ
第一話 額取山の戦い
八幡太郎義家は額取山と鶏峠に立てこもる安倍貞任の軍を撃つため梅の木に本陣をおき、滝新田と上守屋に先陣のさくを設けた。
永承六年十月下旬義家は額取山攻撃の火ぶたを切った。頂上に通ずる尾根やさわにはありのように数百の兵が山頂目ざして進撃を開始し、いたるところで賊軍との戦斗がくりひろげられた。道案内の役にたち先陣の武将となったのは上守屋のさく主、笹山権太夫とその弟、滝新田のさく主、坂東治部之丞であった。
義家は額取山を一望の中に見える小高い岡の上で石に腰をおろし側近の部将七人と戦略を策していた。
義家の腰の下の石には、誰れが何時の頃につくったのか知らないが一匹の牛が刻み込まれていた。破竹の勢で義家の軍は正后頃には額取山頂の賊軍撃破し、全軍休憩に入った。
貞任の軍は鶏峠の友軍のさくに逃げ込んだ模様である。
第二話 ふ る え 病
九つの頃を過ぎると一天にわかにかきくもり、あたりはタ方の様にうす暗くなり雷鳴の音もものすごく、親指大のヒョウがバタバタど降り大木の枝を折った。次第にヒョウは雨に変りその降り方のものすごいこと。竜虎相争うが如き形相であったので雑兵どもは恐れおののき顔色すらなかった。