ふるさと昔話 - 015/056page
頭の三つある大蛇の話
昔し昔し 今泉の舘山という岩山に、頭の三つある大蛇がすんでいたそうな。
毎月、村人の牛と鶴を三頭三羽ずつ喰っていたので、村の人々は大変困っていたそうな。
大蛇が怒ると、川や池や田の水を飲み干してかんばつにしたり雨を降らして大洪水にしたから、大蛇を大魔神のように恐れていたんだわ。
それでもこの大蛇は、白方神社のお使え様で、舘山を七巡り半もするでっかい蛇だから、どうにもしようがなかったんだよ。ところがある年の秋の夜明に、村の組み頭が飼っていた上組の鶴と、下組の鶴がニ羽おりをやぶって南の空へ飛んで行ったんだ。
それから幾月か経ったある寒い雪の降るタ方に、一人の旅の坊様が村にきて、名主様の家にとめてもらって、その晩、恐ろしい大蛇の話をきくと、よく朝暗い中に神社へお参りし社の後の大岩を、持ってた金の五鈷で「おんあぼきゃあー」コン コン カン
「びーろしゃーなー」カン カン コン
「まかぼーだ らーまに」コン コン カン
「はんどまちーんばら」カン カン コン
「はらばーりた、や、うんー」コン コン カン カン カン カン カン カンとたたいたんだ。すると、大岩がバリ バリ バリーとものすごい音を立ててニつに割れた。中から大蛇がガーと大ロを開けて飛び出し、天へ向ってとび上って消えた。
すると、こんどは大きな岩がドスーンと空から神社の庭に落ちてきた。
これからというものは、今泉地方の村々の人々は大蛇におどろかされることがなく、平和にくらせるようになったそうな。
大蛇は大石になっていまでも神社の庭にあるそうな。
旅のお坊さんは弘法大師様という、えらいえらいお坊様だったそうな。
弁天池の主
大久保字竹の花地内、うっそうとした広葉樹に包まれた窪地に池が二つ並んでおり、池の傍に弁天様をまつった小さな祠がある。池は弁天池と称し、何か薄気味悪くて今でもあまり人の寄り付かない所である。池の中程には底知れずお釜があって、そこには弁天様の主が住むと言い伝えられ、罰を恐れて誰一人釣や猟をする者がないので、魚や水鳥にとってはまたとない天国であった。ところが、昔し、村に住む狩人がこの池に鴨がおりたのを知り、家のみんなが止めるのに耳をかさず「神や仏の罰なんてバカげた話だ」と大胆にも鉄砲で撃とうとしたのである。
現場についてみると、さすがの狩人もいやな予感に襲われて、