ふるさと昔話 2 - 004/066page

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  もの知り庄屋の話

 

 ある村の庄屋様は、もの知り庄屋といわれていました。しかし、いなか者なので失敗した話もたくさん残っています。ご陣屋からお役人が来た時、かたつむりを探して来てくれと頼まれたが、さっばり分らない「どんなものでござろうか」とたずねると、貝殼(けいがら)を背(しょ)負って、湿ったところの木の下などに居(お)ると申された。探しに出たところ、いた、いた、大(おっ)きなホラの貝(けえ)を背(しょ)負った山伏が、木の下で休んでいる。お役人様の仰せだからと、連れ戻って差し出すと、お役人が苦が笑い。実は、わらじ履(ば)きで長道中したので、足を痛め、でんでん虫を薬にしたいのだったが、この辺ではでえろ〃といわないと通じない。

 また、夜はローソクをごちそうしてくれ、朝はちょうづを頼むといわれた。ごっつおうしてくれといったんだから、ロウソクは食う物だろう、須賀川(すかがあ)なら売ってるだろうと下男を走らせて買って来た。さて料理の方法だが、穴があいているので串に刺して焼いたところとろとろとけてしもう。

 煮てもさっばり味がないのでアンかけにして出した。あかりに使うのを知らなかったんです。

 さて、朝の"ちょうづ"だが、村中で一番頭の長いのは作どんだろう。作どんに話すとおどろいてガタガタ震えている。「おらどごにも出だごどねえのに、お役人の前(めえ)なんて真っ平ご免だ、勘弁してくれ」と、頼むのを、お役人の仰せ付けだがらこのわしが困る、とムリヤリ連れて来て、これがわが村では一番の長頭(ちょうづ)でござる。と差し出すと、お役人はあきれ顔、実は洗面に使う桶(ちょうづ鉢〉をほしいと頼んだったんだというお話です。

もの知り庄屋の話


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