ふるさと昔話 2 - 006/066page

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  田舎八幡

 

 むかし、関場に、茂助という若者がいた。
 幼いころより、弓が好きで名人といわれていた。或(あ)るとき、庄屋にきた代官所のさむらいがそれをきいて、是非みたいと庄屋に話した。

 早速庄屋に呼ばれた茂助は、弓を射ることになった。

 庄屋の庭には、弓の的場がつくられ、茂助はめどあき銭を五間先に的とした。
「おさむれいさん、銭のめどに命中させっかんない。」といって弓に矢をつがい、満月のように力をこめて放った。茂助の言ったとおり、矢はめどあき銭の真中に命中した。それを見たさむらいは、「たいしたもんだ。」とほめたそうだ。が、茂助は、おさむらいに向かって「こんなもんでねい。こんなこってたまげねいでくんちえ おれが足もとにしるしをつけてくんちぇ。」といった。

 さむらいは、「足もとにしるしをつけてどうするのが」とたずねたら、茂助は真暗な夜でも足あとが同じだら命中させるといったので、さむらいはなおたまげた。

 夜がきた。茂助は昼間、足あとにしるしをつけたところに立って弓矢を射た。

 さむらいは、真暗な夜に「まさか」とおもいながら、灯りで的を見たら、矢はめどの真中に命中してたので、さむらいはまたまた、たまげたそうだ。

 そのあと村人からは茂助は、「田舎八幡」と呼ばれたという。

田舎八幡


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