ふるさと昔話 2 - 010/066page

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  時鳥(ほととぎす)と兄弟

 

 昔々、兄弟二人が山に住んでいたんだと。そして兄んやの方は我儘勝手の気性だったと言うんだない。兄は外へ行って、いろいろ仕事はしてくっけど、家の中の事はおかまいなし。家の中のそうじとまかないはすべて弟の役割だったんだと。ある時の夕食、弟は兄んにやの為に、特別にうまい御馳走をこしらえて「兄んにや、兄んにや早くおあがりおいしく出来たから」と兄さんにたべさせたんだと。兄さんは、おうこれはうまいうまいと、全部食べてしまい 「いま少しないのか、お前は俺のいないあいだに、何んぼか腹いっぱい食べたんべ。」と言ったんだと。弟は「いや、そんな事はない、私は兄さんにたべてもらおうと思って、少ししか食べて居(い)ない。」と言ったんだと。兄は「いやそんな事はない、きっとお前は腹いっぱい喰ったに違いない。

 そんなに言い訳をするなら、お前の腹を裂いて見よう」と言う事で弟の腹を裂いて見たんだと。そしたらほんとに何もたべてなかったんだと。弟は兄さん思いだったので、兄さんにばっかりおいしいものをたべさせて居たんだと。

 兄さんは、弟のお腹を切っては見たものの「あゝ、これは悪かった」と思ったんだべない。この時、鳥になって飛びただし「ぼっとぶっさけたぼっとぶっさけた」と飛んで行ったんだって。その時弟は、もう死んでしまったし、兄の方は、時鳥(ほととぎす)になって、自分が悪い事をした、これまでに弟が自分に尽してくれたのに、弟を疑ってこういう事をしてしまった、自分でほんとうにすまないと思って鳥になったんだと。そしてその罪ほろぼしに、一日八千八声鳴かなくてなんねんだと。

時鳥(ほととぎす)と兄弟


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