ふるさと昔話 2 - 013/066page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

  甚造兵衛の話 (その2)

     (神様が相撲をとった話)

 

 今日は、梅田の熊野神社のお祭りで、笛や太鼓の音(おと)も賑やかで神社の境内には相撲がハッケ ヨイ ヨイ ノコッタノコッタと黒山の人です。安積郡からきた安積山の強いこと、強いこと、誰がとっても勝てません。
 三人抜き、五人抜き、いよいよ、七人抜きとなりました。六人までが投げ飛ばされました。あとは、誰も土俵ヘ上る者がありません。

 これを見ていた甚造兵衛(づんぞうべー)は「そんぢゃあー俺も一丁やってみっぺー」と土俵に上がり、がぶり四つに組みましたが「甚造兵衛(づんぞうべー)どん頑張れー」「安積山!負けるなー」両方の応援はものすごい、甚造兵衛(づんぞうべー)は「エヤー」一声安積山を高々と土俵の外へつり出しました。
「やっぱし、甚造兵衛(づんぞうべー)どんは強い、日本一だ」とみんながほめはやしました。甚造兵衛(づんぞうべー)は得意顔でおおいばりでみんなを見てました。

 その時、見なれぬ小柄な男が土俵の上にあがりましたので「いやあー」というかけ声と共に高々と頭の上に持ち上げて「さあ!」「さあ!」「小人のあんちゃん、お前さんのおうちはどっちだい。入口まで投げ飛ばしてやっぞうー」といいました。
 すると小柄の男は「景色は満点!勝負は決った 投げられるものなら投げてみな、その前に、お前のからだが土俵の上に倒れているよハハハハ」と甚造兵衛(づんぞうべー)の頭の上でニコニコしながら足をバタバタしておりました。
 甚造兵衛(づんぞうべー)は、持ち上げてはみたまのの どうにもならず 立往生 そのうち 額からは玉のような汗がポタリ ポタリ ポタリと そして、とうとう ヘナ ヘナと腰がくだけてしりもちをつきました。

 これを見ていた沢山の人々はアーッと驚き、目玉キョロキョロその后(ご) この時の相撲の話を聞くと、甚造兵衛(づんぞうべー)はかならず「あの時のあの男の重いこと、重いこと、あれは人間じゃあーねえーありゃーきっと熊野神社の神様だ!ありがてえ ありがてえ!」と答えたそうだ。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は岩瀬村教育委員会に帰属します。
岩瀬村教育委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。