ふるさと昔話 2 - 014/066page

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  お盆のおはなし

 

 お釈迦様のお弟子さんに、目蓮(もくれん)という神通力の持ち主がおりました。神通力とは、昔昔のことや、未来のことや、他人の心の中のこと、亡くなった人々が今どこで何をしているかということなどを見ることのできる力なのです。

 目蓮(もくれん)は大層(たいそう)親孝行者でしたので亡くなったお母さんのことを思い出して、会いたくて神通力で極楽世界を探しましたが隅々まで何回も探しましたが、お母さんはどこにも見当りませんでした。それで、こんどは餓鬼(がき)の世界を探しました。「あーっ お母さんだ!」

 食べ物も食べられないで、骨と皮ばかりにやせほそって、ふらふらよろよろしながら苦るしんでいるではありませんか。「あー、可哀そうに」と食物や水を持って目蓮(もくれん)は飛んでゆき「さあーお母さん、食べて下さい!」とお母さんの手に…お母さんは手を伸ばして受け取ろうとすると「あーっ」食べ物はお母さんの手の上で火となって燃えて、すみになってしまいました。二回も、三回も、四回もみんな燃えてしまいました。

 この悲しい出来事を、涙ながらにお釈迦様に目蓮はお話しました。するとお釈迦様は「あなたのお母さんは、生きている時には欲張り者で、自分さえうまい物を食べれば他人などは、どうなってもかまわない、しらんぷりの強欲な人だったから、その報いが今になって餓鬼(がき)の世界で苦しめられているのです。だから、あなたがお母さんの替りになって良い事を世の中の人々のためにしてあげなさい。

 その喜びの功徳が廻り廻ってお母さんを極楽世界へ生れ変らせることができることでしょう」
「ハイ、わかりました。」目蓮(もくれん)は七月十五日から、国中のお坊さんや沢山の人々を自分の家に招待をして、どんどん飲んで、食べて下さいと大ごちそうを一週間もつづけました。ごちそうになった沢山の人々は、手を振り足をならして、歌い、踊りました。


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