ふるさと昔話 2 - 017/066page

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  雨乞い雨降山のはなし

 

 天明の頃、柱田地方は水不足で、あと三日も雨が降らないと田畑の作物が全滅しそう。
「こりゃ!大変だ!」と、今日は上、下柱田、弥六内の大人、子供、老人までが前山の不動堂跡の広場に集まって、大きなたらいを五つならべ、長沼の藤沼から運んだ水を入れ、真中のたらいの中には大きな青大将をおよがせて…このまわりを村中の人だちが手に手に竹笹、杓、鍬、鎌、持ってミノ、カサ姿で真剣に、大きな声をはりあげて太鼓の調子に合わせて
 「おーん ぼーろ だーや そーわーかー どん どん どどん どん どん どどん どん どどどん どん どどどん どどどどどどん
 「あっちの草はにがえぞ こっちの草はあまいぞ こっちの田んぼに降りてこーい」
どん どん どどん どん どん どどん どん どん どどん どん どん どどん どどどどどどん
 「おーん ぼーろ だーや そーわーかー」と三時間、四時間、五時間と、天を仰ぎ地に伏して祈り続けた…

すると、山の上に白い雲がポカッと出た。それがだんだん広がってそして黒色に変ると
 ピカーッと光る ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ ゴロー と雷が鳴りだした そのうちものすごいでっかい雷が「ピカーッ ドカーン」という音と共に前山の岩が二つに割れた。その割れ目から白い雲のような煙の中から剣をもった鬼の様な神様がとびだしたらいの青大将に乗って雷雲へとんでいった。すると雷雨は滝のように降りだした。人々は「降った、降った、雨が降った!」と、小踊をして喜んだ。雨はそれから三日三晩降り続いた。カラカラだった池にも水がたっぷり溜った。割れた岩の間からは「冷たい清水がコン コンと音をたてて流れ出しているではないか。

 これから後、この山を、村の人々は雨降山とよび清水の出る所に神社を建てた。
 清水は、今でも不動清水といって夏でも冷たく、かれることなく地区の人々の飲み水になっている。


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