ふるさと昔話 2 - 018/066page

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  ばかむこ

 

 ざっとむかし、あるところに、二、三里ほどはなっちゃ村から、嫁をもらったばかなむこがいたんだと。
 ある日、ばかむこが、おっかあに
「きょうは陽気がいいから、これを嫁げさ届けてこ」
っていいつけらっちぇ届けに行くことになったと。

 よめげに着いて
「おっかあがよこしたから、つかっておくれ」
って品物を出したと。もんぺをつくるきれでもあったべか。
 よめげでは
「もらってばっかですまねない。」
「むこどん、よくきてくっちゃない。」
「うめえものでもごっつぉすっから、お茶でも飲んでまっちでおくれ。」
って、喜んで迎えてくっちゃと。それからダンゴをつくって
「こういうものつくったから、腹いっぺえ食べなんしょ」
ってだしたと。

 ばかむこは、それまでダンゴを食ったことも見たこともねがったんだと。
「すごくうめえ。こんなうめえ食いものがあったのか。くったこともねえ。」
ってよろこんでごっつぉになったんだと。しばらくごっつぉになって帰っときに、
「このうめえものは、何っていうんだい。」
って聞いたと。嫁のおっかあは、
「これは、ダンゴっていうんだぞい。くったことがねえのかい」
って教えたんだと。

 ばかむこは、わげさ帰ってからつくってもらうべと、忘んにぇように
「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ…」
ってゆいながら帰っていったと。
 途中のちっちゃい堀をわたったとき
「ドッコイショ」
って、とびこえたんだと。そのとたんに「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ…」が「ドッコイショ、ドッコイショ…」にかわっ


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