ふるさと昔話 2 - 027/066page

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  ホトトギスのはなし

 

 ざっとむかし、あるところに、両親に早く死に別れたあねといもうとが二人で住んでいたんだと。
 あねはすごい働きもので、田畑をいっしょうけんめいつくって、いもうとをそだてていたんだと。

 うめえごっつぉだの、ぜにがあっときには、まずいもうとにくっち、わがは、がまんしていたんだと。
 着るものでも、いもうとにはいいものをきせて、わがは、ボロの着物をきて、苦労して育てていたんだと。
 いもうとが病気になったときには、遠いところまでいっては、薬草をさがしてきて、なおしてやったんだと。
 いいあんべにいもうとはでっかくなっていったが、あねの苦労はひとっつも知らねがったんだと。
 あさめしだのゆうめしだののときに、ごっつぉがねえと「となり近所の人らは、うめえものばっかりくっていんのに、わげでは、ダンゴだの、みそばっかりで、ごっつぉはなんにもねえ」ってゆってはあねをいじめていたんだと。
「ねえちゃんは、おれがいねえときにはうめえものを食っていんだべ。いっときには、ごっつぉをかくしてくわせねえんだべ。」って思っていたんだと。

 あるとき、あねは、村の人からボタモチを二っつもらったんだと。やさしいあねは、わがは、くいたくてもがまんして「ボタモチを二っつもらったから、くっておくれ」って、いもうとに食わせたんだと。「これはうめえ」って、いもうとはよろこんで食ったんだと。
 ひねぐっちいるいもうとは、「こだにうめものを、二っつだけしかくれるはずがねえ、重箱の一っつもくっちゃんだべ」ってあねをいじめたんだと。
 やさしいあねも、さすがにおこって「そだことねえ、となりのバアさまにきいてみろ。そだことゆうんだったら、腹をさいてみてみろ」って、ケンカになったんだと。
 いもうとは、ほんとにあねの腹をさいたんだと。
 あねのいうように、腹のなかには米粒一つなかったんだと。いもうとは「わりごとしたわりごとした」ってあやまったげんちょ、おそがった。死んだあねが生きかえるはずはねえがった。そこに神様がやってきて。「なんで、ねえちゃんの腹をきっちまったんだ。ぼっとしてやったのか。」


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