玉川村勢要覧 -022/038page
玉川歴史の小径探訪
永承六年(1051)、この地を治めた石川氏の始祖、源有光が石清水八幡宮を勧請したものといわれ、石川郡の他にも広く社領を有した古社。静寂さを秘めた深い歴史、時の陰影へタイムスリップ
玉川村に残る、由緒ある歴史的遺産の数々。それらは新しく変貌する村の随所に、いまなお深い時間の流れを刻み続ける。そこに居ると時の迷路に迷い込んでしまったような錯覚をおぼえてしまう…。
緑の中に佇む古社「川辺八幡神社本殿」
玉川工業団地から国道118号線 を石川町方面に向かう途中にひっそ りと佇む川辺八幡神社。小高い緑の 丘の上に建つ江戸時代初期の建造物 で、平成5〜7年にわたり、県重要文 化財として修復工事が行われた本殿 は、永くこの周辺を治めていた石川 氏の氏神として、広く信仰を集め崇 められてきた由緒ある古社です。
現在は、保存のため瑞垣(みずがき)で囲まれ ていますが、屋根を支える端正で見 事な桁の彫刻などは、見るものを圧 巻する美しさです。主材に頑強な栗 の木を使い、建築様式は太い木割り を用いた豪壮な江戸初期の造りで、 寛文・享保などの改造を経て今日に 至っていることが現存する六枚の棟 札からわかります。「奉棟札正八幡 宮 武運長久祈慶長四巳亥十月」の 棟札写しからみて、慶長年間の建立 ではないかと推察されています。ま た、内陣天井裏に南北朝期の貴重な 古文書が隠されていたり、源頼朝の 大蛇退治を加護した伝説など歴史浪漫 を感じさせる話が残っており、境 内はタイムスリップしたような静寂 さに包まれています。