あさかわ 浅川町勢要覧2000◎町制施行65周年記念 -011/038page
交流、そして人づくりの場に
富三の偉大な業績とその生き方を学ぶため、浅川町では「ふるさと創生事業」の一環として平成五年から顕彰事業に取り組んでいる。 日本癌学会と共同して癌研究の功労者に贈る『吉田富三賞』や、福島県内の小学校で科学教育の振興を図るための『吉田富三・子ども 科学賞』の制定。その中核施設となっている『吉田富三記念館』の開設がそれである。
吉田富三記念館展示内容
平成五年に開館した吉田富三記念館には、彼の研究内容からプライベートに至る充実した資料を展示。来館者は日本を代表する医学 者や文化人をはじめ、全国から年間約四千人が訪れている。交流の拠点にもなっている記念館には、次の三つの役割がある。富三の偉 業の顕彰・文化センターとしての地域の人間教育・青少年の教育拠点。それに基づいて、すでに小中高生の見学学習や、教員を対象と する総合学習などにも利用されているはか、館内には『吉田富三賞』や『吉田富三・子ども科学賞』の受賞者のパネルも掲げられてい る。平成一一年度には研修室も増築。さっそく「名医と語ろう健康教室」をテーマに講演が行われ、県内から約一〇〇人が集まった。
平成一二年度からは、小学生を対象とする「子ども科学教室」も開講される。顕微鏡で自然界の不思議を観察していこうとするその 取り組みは、子どもたちの輝く陸にその先の未来をのぞかせようとしているのかもしれない。絵画が好きだったという富三のスケッチブックには妻や子どもの肖像や自画像がぎっしりと描きこまれている。
写真だけでは記録として十分ではないと考えていた富三は、「主観的な写生も、車の両輪として必要だと言っていたという おびたたしい癌細胞の写生を残したのも、そのためだった。