あさかわまちが生んだ偉人-029/093page
「わたしの母は、一葉に似ているだろう。」と言って、ほこらしく母の写真を見せるのでした。ほんとうに、その写真は若いころの、明治の女流作家、樋口ー葉にとてもよく似ていたそうです。母の写真は、富三にとって大事なお守りであり、富三の研究室の机には母の写真が飾ってありました。そして、この研究室を訪れる人たちに「写真の母は、いつも私に『がんばれよ』とはげましの
声をかけ、勇気を与えてくれている。」と語っています。富三の母は明治生まれで八十三歳まで生きました。この母が生まれたころは山村では学校に行く人も少なく、女子は特に少なかったようです。母も四年の小学校を卒業しただけでした。しかし、母は確かな生き方をもっていました。どんな人に対しても思いやりをもってやさしくしました。小さい子どもが用をた
若き日の母(17歳明治27年)
博士はこの写真をとても大切にしていた。