あさかわまちが生んだ偉人-061/093page
込んでいきました。
「元気でやっとるかい。」
「社長、おはようございます。」
従業員とのこんなやりとりも、内田社長にはとても楽しいものでした。しかし、部品作りになると、きびしい目にかわりました。内田社長のナッパ服は、この日もやはり、油まみれになりました。
戦争は、日ごどに激しくなっていきました。食べるものも着るものも足りなくなってきました。そんなとき、内田社長は空を見上げ、急に不安でいっぱいになりました。
(たくさん飛行機が作られているはずなのに、空には日本の飛行機の姿が見られない。)
まもなく、戦争は終わりました。たくさんの犠牲者を出し、日本は戦争にまけたのでした。息子をなくし泣き伏す母親の姿を目の前にした時、内田社長は、深い絶望の底につきおとされました。
(おれは、とんでもないことをしてしまった。部品作りに夢中になったばかり