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おぼんのころになると、田んぼのへりにミソハギの赤紫の花が咲く。この花は仏様にそなえるものであった。夏の高山の湿地で見かけるヤナギランとよく感じがにている花で美しい。同じ湿地を好むサワギキョウも紫色の長い穂状の花序(枝や茎につく花のならびかた)を見せている。
黄色の粒々のオミナエシのあわ花もこのころに咲くし、ヤマユリやオニユリの花も香り高く咲いている。ハギ・クズ・ヒヨドリハナと、秋の花がつぎつぎに咲き出す。
フシグロセンノウの橙色の花が、灯火のように北向きの谷筋に咲いている。また、カワラナデシコのピンク、ギボウシの紫色、センニンソウの白と、ひと目を引く花が咲いている。
クズ
うす紫色のツリガネニンジン、少し色のこいソバナなど、小さなベルを秋風にかすかにゆらして、かわいらしい風情をただよわせている。
昼さがりのそんな野の道を、ヤマカガシがゆっくりと横切って行くのに出会ったりする。林の木の
フシグロセンノウ