三春の自然-018/070page
カミソリ(初秋咲き)である。
雑木林のへりには、ワレモコウのくすんだセピア色(黒ぽいかっ色)の玉が秋風を呼んでゆれている。はねがかさかさになった赤トンボが、弱々しく飛んでいる田や畑の中の道ばたには、ノコンギクの紫や白いユウガギク、黄金色のアワコガネギクやヤクシソウなど、秋の日ざしをあびている。
ノコンギク
エノコログサやチカラシバの穂が出るころになると、コオロギの声も力なく聞えるようになる。また、毎朝のように朝霧がかかり、エノコログサやチカラシバののぎに白くむらがる朝露を逆光で見る美しさは、心の中まで清められる。
白河層のやせ地の上にはマツ林がある。こんなマツ林には、きのこも多い。ときおりリスやムササビがとひ出したり、ノウサギが走り出したりする。11月中旬のマツ林やカラマツ林の中を行くと、落ち葉がバラバラと肩の上に降りかかる。霜の朝イチョウの木の下に立つと、落ち葉のシャワーを浴びているような気持ちになる。
お城山の秋