西郷村社会科副読本 DATA BOOK-066/147page

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つちゃ行げ、赤犬っ仔こっちゃ来」つっ(言った)たんだと。そしたら、白犬っ仔泣き泣きあっちゃ行って、赤犬っ仔喜んでこっちゃ来たんだって、そして拾って来て、囲炉裏(いろり)のすまっこさゴザ敷いてなナ置いだっつんだ。「赤犬仔、白飯(しろまんま)食うが、赤飯(あかまんま)食うが」つったら、「俺(おれ)赤犬っ仔だから赤飯食う」つった。赤飯食わせで囲炉裏のおまっこで育ったって。
 そしたら、おっ(大)きぐなってナ、正月来る頃になったら、ハアおっきぐなって、「爺ちゃん爺ちゃん俺に乗っせ」って。「にし(おまえ)みてえにめんげい(可愛い)のに乗られっか」って。そしたら、「鍬担いで乗ってやばっせ」って。そして行ったら、「ホクツっておっ転んだとこ、掘ってみらっせ」って、それから降ぢで掘ってみだ。そしたら銭はザックザック出る。そら、赤い着物だの、草履だの、下駄だの出たんだって。
 そして戻って来たって。「婆様婆様、あのな、赤っ仔に着物いっぺ貰ったぞ」って。「あ、いがったな、これ土ん中にあったんだから、着物しけっぺから外さ干せ」って。外さ、それ、着物だ、下駄だって干して置いたら、隣の欲深爺様来て「なんだよ、お前家(めげ)で、なしてそだに着物いっぺあんだ」って、「あのな、俺家(おらげ)の赤犬っ仔授けでくっちゃんだ。『俺さ乗さってやばっせ』ってゆうがら『にしゃみでいなめんげいがなに乗らんにえ』って。『いがら乗ってやばっせ』ってゆうがら乗ってったらば、こうゆうわけなんだ」って「大判小判出る、着物出るして、こらほどあったんだ」って。「そんじゃ俺にもこの赤犬っ仔貸してくんつえ」って。「いや、貸さんにぇ」「いや貸してくんつぇ」って無理矢理せでっ(連れて)たって。
 引っぱってって「鍬乗せろ」どもゆわねの乗せで、「乗れ」どもゆわねの乗ってって、そんじぇおっ転ばねつんだ。おっ転ばねのおっ転ばして、そして掘って見だら、いろいろな泥だとか、ほら、馬の糞出たりして、穢(きった)なくて「ハア、こだ犬ぶっ殺してしめぇ、こだの置がんにぇ」って。そして、木さ結っつげで殺しちゃったって。
 そしたら、「お前(め)どうしたんだ」「あそごさ埋げて来たから行ってみらっせ」それがらいい爺様行ってみただって。「可愛そうに、お前殺さっち」そして花あげで梨の木一本植えで来たんだって。たちまちおっきぐなって、それがら、「梨ゝ落(お)ぢろ」って、爺様がゆったらポタッと落ぢだ。「婆様がなに、いま一つ落じねが」ったら、また一つポタッと落ぢだ。
 そして、我家さ持って来て、婆様ど爺様ど仲よぐ食った。したら、まだ、欲深爺様来て、なんだ、お前家(めげ)でそんなでっかい梨、どっからもいで来ただ」「お前が俺家の赤犬っ仔殺したがら、そごさ行って裏印に梨の木一本植えで来たんだ、それがおっきぐなってたんだ」って。「そんじゃ、俺も行って来る」って行ったらば、やっぱなってんだつうだ。「梨ゝ落(お)ぢろよ」ったらば、眼(まなぐ)さ落ぢだっていうだ。「こったら畜生! 本当に! 婆様がなに、いま一づ落(お)ぢろよ」ったら、そしたら、今度(こんだ)額(ひてい)さ落ぢで来たって。でかいい瘤出来ちゃったって、それから家さもどって、鋸持って来てひったぎっちゃった。ごせやいでひったぎっちゃったって。それがら、いい爺様また梨もぎりさ行ったんだって。そしたら、「こんなおっきな瘤出来た。憎らしがら伐って来た」って。「そんじゃ困ったな。行ってみで来っかな」なんてゆって、行ってみだらば、ひったぎってあったから、我家さ持って来て、臼こしゃった。
 そして今度、正月になったら餅搗いで、一生懸命餅搗いだら、今度臼がら盛りあがってな、大判小判出たんだって。そしたら、また隣りの爺様聞きづけて来て、「やあ、お前家で餅搗きが、たいしたもんだな、お前家で餅搗ででと思ったら、大判小判こらほど出た。そんじゃ、俺家さも臼貸さっせ」って、したら、「お前みでいな気短かな人さ貸さんにぇ」つった。「いや、そうゆわねで貸してくんせ」無理々々持ってっ

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