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町指定有形文化財
古宿観音堂
塙町指定 昭和51年2月12日
所在地 大字伊香字古宿213平安初期に編さんされた「日本後紀」の弘仁2年(811)4月条に「高野」の駅が設置されたと記されている。この「高野」は、伊香辺に比定されている(福島県史)。都から陸奥国府(宮城県多賀城市)へ通じた、古代の国道が設置され、中央の文化が、陸奥国に入る接点にあったのである。
この観音堂は、一面が4.85メートルの入母屋造りで、十一面観音を本尊とし、天井には寛保2年(1742)狩野益信の筆になる、墨絵の龍が描かれている。
「塙町の民話と伝説」によると、この地にいた「朝日長者」が、この屋敷を宿とした旅人を殺しては、金銀を奪ったことから大罰があたり、次々と子供が死んでしまった。そこで長者夫婦は、諸国修行に出て、高僧から、御堂を建て供養することを教えられ、帰郷するや一夜のうちに御堂を建てて、朝日さし夕日さす樹の下に、漆千杯、朱千杯、黄金千杯を、埋めて供養したと言い伝えのある御堂である。