塙町の文化財 -020/105page
町指定有形文化財
常世観音堂
塙町指定 昭和51年2月12日
所在地 大字常世中野字舟木原86当地は、上代史に載る数少ない地名の常世郷である。このことから「常世観音堂」と呼ばれる。本堂は、西の耕地の中にあった廃寺に残されたお堂で、火災のため、天保9年(1838)再建され、大正9年(1920)この地に移されたものである。
屋根は宝形造り、堂の回りは横板壁で、柱は粽(ちまき)付き、台輪のある円柱で、隅柱には簡素な出組がある。内部は入念な作風で、結界内に祭壇と通りとを設け、中央来迎柱間に厨子を安置し、外陣に向けた中桁には、斗(ます)や木 鼻をつけ、欄間には彩色の透かし彫りを配し、腰部にも陽刻のある、はでな造りとなっている。外陣は格天井、中央に龍が、各格子には花鳥の彩色画が描かれている。掲額は、水戸学者で名筆家の立原翠軒の筆になるものである。
本尊の如意輪観音は、この地方には数少ない南北朝時代(1336〜92)の仏像であり、箱型厨子に安置され、仙道二十二番札所の霊仏にふさわしい仏堂として営まれてきたものである。