塙町の文化財 -026/105page

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町指定有形文化財

木造如意輪観音菩薩坐像

木造如意輪観音菩薩坐像

塙町指定 平成2年1月11日
所在地 大字常世中野字舟木原(常世観音堂)

一木造 彫眼 漆箔
像 高 63.7p
南北朝時代(14世紀後半)

 頭体の大部分を一材で彫出し、材を厚くしている構造は、在地の造像における一木造の像に近い。しかし切長の目に眉の弧線の長く伸びた顔貌には、すっきりと澄んだ表情がうかがえる。また頭部をやや右に傾け、一面六腎で、右足を立てた複雑な形相を破綻なく仕上げている技倆には、卓抜さがみられる。六腎の配置も崩れることなく、充実した構成を示している。技法には地方的な要素を含んで いるが、表現には調和のとれた造形がうかがえる。中央の仏師の、土着化した様態をあらわしているようである。

 県内では、時代的にある程度古く、造形的にも優れた如意輪観音の作例はあまりない。この像は作域の優秀性とともに、尊像の種類において稀少性もあり、二つの意味でより価値が高い。


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