塙町の文化財 -027/105page
町指定有形文化財
木造聖観音菩薩坐像
塙町指定 平成2年1月11日
所在地 大字山形字桜下(湯舟観音堂)一木造 彫眼 素地仕上げ
像 高 52.1cm
室町時代(15世紀)宝冠を戴き、禅定印を結び結跏趺坐する、宝冠釈迦如来ともみられる。しかし宝冠正面に化仏をおいているのは、聖観音のお姿である。現在観音堂の本尊であり、聖観音と伝えられており、両手は後補であるので、現状では聖観音としておく。
両肘の張がなく、体躯は窮屈な感じを受ける。これは材の制約によるものと考えられる。目尻をつり上り気味にあらわし、口をしっかりと結んだ面長な顔貌表現には厳しさがうかがえる。また両肩が張り、襟の線がV字状なり、胸部の露出を少なくしているところなど、古様な表現もみられる。一木造で素地仕上げとし、厳しい表情、鋭さのある衣文の彫出など、八槻都々古別神社木造十一面観音立像に通じる特色が看取される。あるいは行者系の彫刻に分類されるかもしれない。この地方での造像と考えられ、地域的特色をもった像といえよう。この土地の特徴的な作風をもった像として、貴重な遺品である。