塙町の文化財 -028/105page
町指定有形文化財
木造地蔵菩薩半跏像
塙町指定 平成2年1月11日
所在地 大字川上字寺下(賢瑞院)寄木造 玉眼嵌入 彩色
頂一左足下 46.8p
南北朝時代(14世紀後半)左足を垂下し、右膝をたて頬杖をついたような気楽な姿である。このような姿の像は、鎌倉時代以降、宋風の影響を受けて鎌倉地方を中心にして多くつくられた。この形相には、鎌倉からの直接的影響がみられる。体躯は幅広で、ずんぐりした造形である。胸部の肉取は強く、衣文は太く深くうねるように大振に彫出される。頭体の根幹部を前後に矧ぎ合わせ、頭部を割矧ぐ技法は、南北朝頃の仏像にしばしばみられる。形式化しながらも、洗練された作風をもつ。その形相とともに、中央(鎌倉か)系の仏師の作と考えられる。南北朝時代の中央仏師の作例として、美術史的に貴重な遺品といえる。同時にこの時代の、当地方と鎌倉地方との交流を示す具体的歴史資料として価値は高い。