塙町の文化財 -046/105page
十三、木造如来形立像
江戸時代
安楽寺 大字塙字上町
像高 四九・0p
寄木造 玉眼嵌入 漆箔現在、この像は両手首より先を欠失しており、詳しい尊名(そんめい)を知ることはできない。肉髻相(につけいそう)をあらわし、螺髪を彫出し、水晶製の肉髻珠、白毫珠(びゃくごうしゅ)をつけている。左肩を覆い右腋下を通る衲衣と、右肩にかかる偏衫(へんさん)をつけ、両足をそろえて立つ。
構造は、頭部を前後に矧ぎ、三道下で体躯に挿し込んでいるようである。漆箔が厚く施され、このあたりの構造はよくわからない。体躯は前後に二材を矧ぎ、両肩先より各袖先まで通してそれぞれ一材を体側に矧いでいる。さらに細部に小材を矧いでいる。
記録によれば、当寺は領主佐竹義重の寄付により、常陸国那珂郡常福寺第九世空誉玉泉上人を開山とし、天文二十三年(一五五四)に建てられたといわれる。しかし当寺には創建(そうこん)当初に溯る遺品はなく、この像もつくられた年代はずっと下る。技巧的で、一見調和よく彫刻されているようであるが、お顔の表情などは無気力に流れ、形式化も進んでいる。
十四、木造聖観音菩薩坐像
室町時代
湯舟観音堂 大字山形字桜下
像高 五二・一p
一木造 彫眼 素地仕上げ前面のみの宝冠を戴き、宝冠正面を龕形に彫り窪め化仏(欠)をおく。左脇腹に僧祗支(そうぎし)をあらわし、背面より右肩、右腕に偏衫(へんさん)をかける。衲衣は左肩を覆い、右腋下を通る。両手屈腎して膝上におき、左右重ねて禅定印を結び、右足を上にして結跏趺坐する。
構造は、髻頂より宝冠を含め、体躯を通して地付まで、像のほぼ中心に木心をこめた一材で彫出する。内刳はない。脚部は、裳先をも含んで横に一材を矧ぐ。両手は一材で彫出し、各袖口に矧ぐ。両手及び脚部は後補で、宝冠化仏を欠失する。
十五、木造阿弥陀如来立像
江戸時代
湯岐阿弥陀堂 大字湯岐字上平
像高 四八・五p
寄木造 玉眼嵌入 漆箔