塙町の文化財 -060/105page
八、安楽寺山門
所在 大字塙字上町
建立 文化年間(一八一〇頃)
間ロニ・五ニメートル、奥行二・五六メートル、切妻造り、鉄板葺き(もと茅葺き)、六脚門。旧町内の東方、上町の高台に建つ安楽寺は、天正年間の創立と伝えている浄土宗の寺院である。
この山門はその長い参道の登り口付近に建つものである。前後の粽付き角柱で大斗肘木を直接受け、二本の中柱で棟を支えて貫で前後を繋ぐ簡素な手法であるが、地棟中央部の上下には、板蟇股と飛竜の陽彫を取付けるなど装飾的な部分も備えている。
文化年間(一八一〇頃)、幕領であったこの地域の支配代官寺西重次郎が、家族の菩提寺(安楽寺)に対して寄進したと伝えており、その建立年のおよそが察せられる。
現状は礎石がコンクリート製に変更されているほか、扉は見当らず、屋根は垂木から上部が改造され、また、両脇の塀(板塀)は解体されているなど、旧姿の多くが失われている。
九、古宿観音堂
所在 大字伊香字古宿
建立 寛保二年(一七四二)以前
方三間(間口四・八三メートル、奥行四.八五メートル)、寄棟造り、鉄板葺き(もと茅葺き)。旧街道に沿った集落である古宿西方の杉林のなかに、南面して建ち、ほぼ正方形平面をもつ仏堂である。かつて所属した寺院は明治初年の廃仏棄釈で廃寺となり、その