塙町の文化財 -094/105page

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塙町の民謡

 県内でも珍しい茶もみ唄が、上渋井地区に伝わっている。

 上渋井地区の茶の栽培は、記録によると慶長十一年(一五〇六)に、宇治の製法が伝えられてからという。以来、棚倉藩内の珍しい茶の産地として献上も行われ、ひときわ栄えた。

 五月下旬から一番茶を摘みはじめ、秋の彼岸の三番茶まで、毎日茶摘みと茶もみが続く。まず、摘んだ葉を大きな釜でふかし、板にあげてさます。

 次にこれをホイロに入れてもむ。ホイロは一間に半間の鉄製の箱状のもので、カマドの上に乗せてある。最初は「葉うち」といって上下にもみ、次に「ダルマ」といって転がすように左右にかきまぜ、さらに「デングリ」となって仕上げる。「ダルマ」と「デングリ」の作業でうたわれるのが茶もみ唄である。生葉五貫目が一貫目の製品になるといい、これが一人前の一日分の作業量といわれる。

 上渋井の茶作りも今は見られない。

 この歌は昭和五十六年十二月五日、郡山市民会館で行なわれた「第二回福島県民謡まつり」において、塙町上渋井字安久津の白坂利光氏が、茶もみの作業とともに再現したものである。

「茶もみ唄」

ハアー
もめやもめもめ もまねきゃよれの
もめばェ大葉も アノ小葉となる

渋井渋井と 名は渋けれど
一夜ねてみろ 甘くなる

渋井よいとこ 後ろは山で
前は久慈川 茶の出どこ

渋井土地のせいか お色が黒い
黒いはずだよ 茶の出どこ

渋井よいとこ 新茶の出どこ
娘やりたや お茶摘みに

お茶師さんかい よく来てくれた
今年や娘も 待っていた

 尚、同じ頃に提出された調査書には、木挽歌、土搗歌、数珠繰り念仏、松坂、子ども精進唱え言等が報告されている。

「土搗歌」

ひきゃげ もちゃげろ
天竺までも
ここは 大事な
隅柱 エーヤーレ
(囃し)
サーノヨイサ
ヨーイヤラセーノ
エンエンヤレコノセ
サーノセ
アレハサイ
インヤーレ

めでた めでたの
このどうづきは
鶴が 音頭で
亀がひくよ エサネー

めでた めでたの
このやのやかた
鶴が 綱引き
亀ねとる 工ーヤーレ

譲った 譲ったよ
音頭を譲った
花も 実もある
○○さんに譲った 工ーヤーレ


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