オオムラサキ徹底分析 -003/004page

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オオムラサキの一生

オオムラサキの一生

1.産卵(卵) 8月

大きさ:直径1.5mm程度。
産卵後は光沢のある淡緑色。
1日目:変色がみられないので、受精卵であるか、無精卵であるかまったくわからない。
2日目:上部1/3ほど白っぽく変わる。
3日目:2日目の白っぽい部分が一層はっきりする。
4日目:赤紫色のブツブツした斑点が現れる。
5日目:上半部は濃い未熟ブドウ色、下半部は濃緑色。
6日目:ブドウ色が消え、全体が暗緑色となる。
7日目:全体が白っぽくなり、間もなくふ化が始まる。

2.孵化(ふか) 8月

卵内の幼虫は、卵の上部をかじって小さい穴を開け、そこから横に一周2/3ほどかじっては休み、かじっては休みして、自分の頭が楽に出るようになるまで、時間をかけて 丹念に広げていく。こうして卵殻を破り始めてから4〜5時間後に脱出して、ふ化完了となる。ふ化後間もなく自分の卵殻を食べ始める。大部分の幼虫は葉表に付着した 底面のみ残し、後はきれいに摂食する。

3.4.幼虫 8月〜6月

ふ化した幼虫が第1回目の脱皮を始めるまでの期間を1令と呼び、この間の幼虫を1令幼虫という。幼虫は脱皮開始の2〜3日前から眠りに入る。この期間を「休眠期」と 呼ぶ。第1回目の休眠を1眠と称し、眠(みん)から目覚める(脱皮完了)と2令幼虫となる。2令幼虫→2眠→脱皮→3令幼虫と、このような順序で 4令・5令・6令と令が進んでいく。

5.さなぎ 6月〜7月

蛹の大きさ
オス:最大体長41mm、最小体長37mm(平均39.7mm)
メス:最大体長45mm、最小体長41mm(平均42.5mm)
*成虫のメスがオスより大きいのに比例し、蛹もメスの方が大きい。

6.羽化 7月

蛹から成虫が生まれ出ることを羽化(うか)という。羽化が近づくにつれて、蛹の体色が変わっていく。
1)まず、胸部背面が縦に割れて成虫の胸部が現れ、ついで、複眼→触角→腹部→脚の順に脱出。
2)蛹の頭部が下向きのため、(垂蛹)羽化の際も幼虫は下向きで生まれる。脚が抜け出すのと同時に反転して、こんどは頭を上に中脚と後脚で抜け殻にしっかりと つかまる。これで羽化完了。所要時間は3分30秒。
羽化直後の翅は絹のハンカチをにぎった時のように縮み、口吻(こうふん:樹液を吸うためのストロー状のもの)は2本に分かれている。時間がたつにつれて、 翅は徐々に伸び、口吻は根元の方から次第に密着して、1本になっていく。翅が伸びきるまでに約20分かかり、前後翅が伸びきる頃、腹端から茶褐色の便(蛹便) を排泄する。こうして翅を閉じたまま、蛹の殻で静止し、羽化後4〜5時間経過してから飛び立つ。

7.成虫 7月

7月上旬、ふ化から11ヶ月という長い月日を無事に送ったオオムラサキはいよいよ成虫となる。成虫は年1回、普通7月上旬から発生。発生初期はほとんどオスのみ。 これから約1週間遅れてメスの羽化が始まる。天候順調な年はまれに6月下旬から始まる。

    
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