ふるさとのむかし話-002/42age
ったのはたたりがあったからだ。もし、今年十一才になる男の子を山の天狗にいけにゆえとしてささげれば、湯はもとのようにコンコンとわきでるだろう。」と、この山に住む天狗のお告げがあったという、うわさがたちはじめました。
十一才になる男の子、それはこの山奥にたった一人しかいません。それは、あの心,のやさしい母親につれられた、かわいい男の子だけです。このうわさは、母親をすっかりふるえあがらせてしまいました。「そんなばかなことが!!。でも、もし本当のことだとしたら、どんなことがあっても決してこの子をはなしはしない。」と、不安と恐ろしさにおちおち眠れず、何も知らずぐっすりと眠っているわが子の身体を、しっかりとだきしめました。
しかし、その恐ろしいことが、ついに本当になってしまいました。よく朝になって、