ふるさとのむかし話-004/42age
コンコンとわき出た湯につかると、「じゅういち、じゅういち…。」と、つぶやくような声が、むせぶがごとく訴えるがごとく聞こえ、湯治客は、この母子の二人づれを思いだし、なんとも悲しい思いにおそわれるのでした。そして、温度の高かった湯の田の温泉の湯は、そのつぶやくよう声ののろいで、つめたいほどのぬるま湯にかわってしまったのでした。
その後、母親は鳥に化身し、この山にとどまり、いまでも、十一才になる男の子をさがしているそうです。その証拠に、青葉の頃に湯の田の湯につかっていると、「じゅういち、じゅういち…。」と、その声が聞こえてくるそうです。
おらが村のあたごさま
むかしむかし、宝木村と戸倉村とは、よるとさわるといがみあい、大変に仲が悪か