ふるさとのむかし話-016/42age
いたい目をおさえながら、あの娘について氏子の者にきいてまわりましたが、だれも娘を知るものはありませんでした。
やがて、娘のことも忘れかけたころ、いつまでたってもごまのからでついた目がなおらないので、高名な占い師にきくと、北野神社さまが五郎兵衛を思って、試練をあたえてくださったのだから、百姓仕事に精をだせば、目はたちまちなおるとのことでした。その後、五郎兵衛は、神さまをぶじょくしたことを深くくい、百姓仕事に一生けんめい精をだし、村一番の百姓になり、さんごくいちの花よめをめとり、しあわせにくらしたそうです。
それをきいた、北野神社の氏子の人達は、五郎兵衛が、村一番の百姓になったのがねたましく、十六ささげとごまを作って、ばちがひとさまにあたっては申しわけがないと、ひにくをいい、作らなくなってしまったそうです。それが、いまでは話がかわり、十六ささげとごまをつくるとばちがあたると、代々かたりつがれ、北野神社の氏子達は作らないことにしているそうです。