体験学習の手引き -013/036page

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特色あるたべもの

 郷土の味、それは、その風土や歴史、住む人々の知恵・工夫から生まれてくるのではないでし ょうか。
 山国の会津には、長い冬の間深い雪に埋れて幕らす毎日の生活が生んだ郷土色豊かな、風味の あるたべものがたくさんあります。交通の不便な昔は、蛋白源(たんばくげん)は川魚ばかりでした。そのため海 の幸は保存のきく干物や塩づけが多く、いろいろ工夫して料理されていました。

1.郷土料理

(1)田楽(でんがく)
 つきたての餅、なま揚げ、里芋、こんにゃ く、身欠(みが)きにしんなどを串にさして、山根(さんしょう)の香味が きいている練(ね)り味噌をつけ、炭火でこんがり焼く料 理です。田楽はもともと野戦用の料理で、戦いに明 け幕れする武士たちは持ってきた食料を串にさし、田 や畑で焼いて食べたと言われます。
田 楽
田 楽

(2)棒(ぼう)たら
 棒たらは北海道の干(ほし)だらを清く澄んだ冷 たい水につけ、砂糖、醤油で味つけして、骨までやわらかく煮込んだものです。  棒たらは、会津藩主松平容保(まつだいらかたもり)が、京都守護職時代に会津の地にふさわしい料理として京 都から伝えられたと言われています。
棒 た ら
 棒 た ら

(3)にしんのすし濱け
 北海造の身欠きにしんが出回るころ、これを新鮮なうちににしん鉢 につけます。
 まず、にしんと山椒を交互に重ね、これを酢でつけ込むのです。このようにするといつ までもやわらかく貯蔵ができます。しかも山椒の葉 でなまぐさ味をとり、風味を加えます。そのままで も、焼いても食べられます。

(4)こづゆ
 昔は海の物が手に入りにくかったので、 保存のきく干貝柱(はしかいばしら)を利用し、里芋、人参、干(ほし)しいた け、きくらげに糸こんにやく、豆麩(まめふ)、青みの物を入れ、 醤油で味つけしたものです。
 こづゆは、結婚式、お祝い事、お祭などに作られま す。実(み)たくさんの煮吸物(にすいもの)ともいわれます。

(5〉ざくざく煮
 山に囲まれた会津は、海に遠く、山菜には恵まれていましたが、ふだんの 食事は決しておいしいものではありませんでした。「正月ってよいもんだ。雪のよう な“ママ”食べて、紅のような“トト”食べて……」という歌がありますが、これは正月に食 べるごちそうの喜びを歌ったものです。そのごちそうのひとつがざくざく煮でした。


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