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特色あるたべもの
郷土の味、それは、その風土や歴史、住む人々の知恵・工夫から生まれてくるのではないでしょうか。
山国の会津には、長い冬の間深い雪に埋れて暮らす毎日の生活が生んだ郷土色豊かな、風味のあるたべものがたくさんあります。交通の不便な昔は、蛋白源は川魚ばかりでした。そのため海の幸は保存のきく干物や塩づけが多く、いろいろ工夫して料理されていました。
1.郷土料理
(1) 田楽(でんがく) つきたての餅、なま揚げ、里芋、こんにゃく、身欠きにしんなどを串にさして、山椒の香味がきいている練り味噌をつけ、炭火でこんがり焼く料理です。田楽はもともと野戦用の料理で、戦いに明け暮れする武士たちは持ってきた食料を串にさし、田や畑で焼いて食べたと言われます。
(2) 棒たら 棒たらは北海道の干(ほし)だらを清く澄んだ冷たい水につけ、砂糖、醤油で味つけして、骨までやわらかく煮込んだものです。
棒たらは、会津藩主松平容保が、京都守護職時代に会津の地にふさわしい料理として京都から伝えられたと言われています。
(3) にしんのすし漬け 北海道の身欠きにしんが出回るころ、これを新鮮なうちににしん鉢につけます。
まず、にしんと山椒を交互に重ね、これを酢でつけ込むのです。このようにするといつまでもやわらかく貯蔵ができます。しかも山椒の葉でなまぐさ味をとり、風味を加えます。そのままでも、焼いても食べられます。
(4) こづゆ 昔は海の物が手に入りにくかったので、保存のきく干貝柱を利用し、里芋、人参、干(ほし)しいたけ、きくらげに糸こんにゃく、豆麩、青みの物を入れ、醤油で味つけしたものです。
こづゆは、結婚式、お祝い事、お祭などに作られます。実たくさんの煮吸物ともいわれます。
(5) ざくざく煮 山に囲まれた会津は、海に遠く、山菜には恵まれていましたが、ふだんの食事は決しておいしいものではありませんでした。「正月ってよいもんだ。雪のような“ママ”食べて、紅のような“トト”食べて……」という歌がありますが、これは正月に食べるごちそうの喜びを歌ったものです。そのごちそうのひとつがざくざく煮でした。
田楽
棒たら
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