体験学習の手引き-016/033page

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2.赤べこ(べこは会津弁で牛のこと、発音「アガベコ」)
 会津では、古くから木型に和紙を張って作った張子(はりこ)人形が作られてきました。会津天神・だるま・面などいろいろありましたが、全国に知られているのが赤べこです。赤べこを作る店は、何軒もありますが、100年以上も作り続けている店もあります。古い店では、昔からのカッコのよくない型をかたくなに守り続けているところもあり、それがかえって現代人の心を引きつけているようです。手作りの素朴なところが、赤べこの何ともいえない魅力です。
 赤べこの作り方は、家によって多少の違いはありますが、次のようになっています。まず木型作りです。ホウノキをのみと小刀で削り、家に伝わった形に作り上げます。その上に和紙を何枚も糊で張り乾燥させます。乾き上がったら小刀で背割りをします。背や腹の部分を切り開き、木型を取り出します。それをもう一度張り合わせてから、貝がらを粉にしてニカワでねった胡粉(ごふん)で下塗りをします。まっ白になった下地に墨で絵付けをします。(絵付けを後からするところもあります)その上に、赤い染料などをニカワで溶かして、むらなく上塗りをします。白模様などを書き加えて首つりをします。首がよく振れるように、首の後部に重りをつけ糸で吊ってできあがります。
 赤べこは、ゆったりしていて、ユーモラス。ゆっくり首を振るようすはどこか会津人に似ています。あまりカッコよくない、どこか鈍く、かたくなで、それでいて何となく人のよさそうな感じ。素朴さ・実直・正義感・がんこさ・暖かさ。そんなものがどこからか、にじみ出てくるように見えます。赤べこが多くの人々に親しまれているのも、こんなところがらではないでしょうか。
 赤べこなどの民芸品は、蒲生氏郷のころ(安土桃山時代)、収入の少なかった武士の内職として薦められたとされていますが、はっきりした記録が残っているのは、江戸時代初めのものです。初音などが縁起物として広まったのに対して、赤べこは疫病の厄除けになるとか、虚空蔵様の手伝いをしたという伝説などと結びついて、会津の人々に広く親しまれてきました。
初音
初音
起き上り小法師
風車
赤べこ

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