すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -006/197page

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の子です。この刀を持っていさなさい。」
と母から言われて、かし子は父の刀を特って家を出ました。母は、妹の宮子(みやこ)が生まれる前だったので、とても苦しそうでした。ふろしき包みをもった祖母(そぼ)と三人で家を出ました。

 途中(とちゅう)の道路は、逃げる人々で混雑(こんざつ)していました。鉄砲(てっぽう)の音がはげしく聞こえ、弾丸(だんがん)が人々の頭の上をとんでいきました。ふり返ってみると、お城のまわりに、まっ赤な火がみえました。その火の中から、逃げる人々を追いかけるように、お城の早鐘(はやがね)がひびいていました。おそろしい光景でした。

 戦争はlヵ月後に終わりました。武士の家で育った母は、気持ちのしっかりした人でしたが、お産(さん)の後でからだが弱っていきました。そこに、あのおそろしい戦いを思い出させる鐘の音が、いらいらした神経(しんけい)にさわります。鐘が鳴るたびに、からだのふるえがとまらなくなり、薬(くすり)も食物もないまま、しばらくし


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