すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -007/197page
て息をひきとりました。
会津から横浜へ
かし子の父は、松川勝次郎(まつかわかつじろう)という会津藩(はん)の武士でした。武士といっても身分は低く、隠密(おんみつ)をしていたので、戦いが終わった後でも、島田と名前を変えたりして身をかくしていました。
母をなくし、祖母と妹は親類の家にあずけられ、かし子は、ひとりだけ横浜(よこはま)の大川甚兵衛(おおかわじんべえ)という生糸(きいと)の貿易商人(ぼうえきしょうにん)の家にもらわれていきました。そのころの会津藩は、賊軍(ぞくぐん)といわれ、戦いに敗(やぶ)れた藩士(はんし)たちはよい仕事につくこともできず、苦しい生活をしていました。まして、隠密(おんみつ)をしていた父が、また身をかくしてしまったかし子の家では、働き手もなく、みんなばらばらになってしまっ