すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -022/197page

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 をまわして……‥』

 そのころは、話しことばの文学作品といえば、二葉亭四迷(ふたばていしめい)の 『浮雲(うきぐも)』ぐらいしかありませんでした。この 『小公子』 を読んだ人々は驚きました。外国の物語を、こんなにのびのびとした日本語で語りかけてくれる作品は初めてだったからです。

 賤子(しずこ)が『小公子』を発表してから、現在までの約90年間、『小公子』は多くの人に訳(やく)され、百種類以上の物語や絵本になりました。母から子へ、たくさんの人々に感動を与(あた)え、読みつがれてきました。しかし、賤子のつけた『小公子』の題名は今でも変わりません。

 賤子の 『小公子』は、この語りかける文体とともに、母から賤子へのやさしい愛情にあふれていることも、人々に多くの感動を与えました。幼(おさな)いころから両親と離れて、他人の中で暮らしてきた賤子には、暖かい家庭(ホーム) の愛情


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