すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -050/197page

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といううわさが流れたりしました。兼載(けんさい)は、

「そんなうわさがあるなら、わたしの句をぜんぶ除(のぞ)いてくれ。」と言って、歌集の完成(かんせい)があやぶまれたこともありました。若くて気特ちのはげしい兼載が、先輩(せんばい)の宗祇(そうぎ)になだめられながら、ようやく新撰菟玖波集(しんせんつくばしゅう)の完成にこぎつけたのでした。

 この年、九月十八日、この歌集を作るのに後援(こうえん)してくれた大内政弘(おおうちまさひろ)が病気でなくなりました。政弘の病気を聞いて、兼載は山口まで見舞(みま)いに行きました。ほぼ完成した新撰菟玖波集を手にして、政弘はどんなに喜んだことでしょう。画(え)の天才の雪舟(せっしゅう)を育(そだ)て、山口の大内文化を作った政弘の最後にふさわしい贈(おく)り物となったのです。新撰菟玖波集には、政弘の連歌(れんが)が七十五句のせられています。

 兼載は、政弘の死の前後のことや、政弘の霊(れい)をなぐさめる句などをあわせて


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