すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -057/197page
てなしてくれました。
病気を治(なお)すために特別な住(す)まいがあたえられました。その庭には兼載(けんさい)の好(この)む桜の樹をうえて、兼載の心をなぐさめてくれました。桜の樹は、庭の池にその影をうつして、57歳の兼載の心に安(やす)らぎをあたえてくれました。また、関東一の名医(めいい)も兼載のために呼びよせて、その治療(ちりょう)にあたらせました。将軍家の一門である古河公方(こがくぼう)として、できるだけのことをしてくれたのです。
兼載もそれにこたえて、古河公方にあてて連歌(れんが)をさしあげたり、自分が先生として学んだ心敬(しんぎょう)から教えをうけた『量感道(りょうかんどう)』 という本を古河公方にさしあげたりしました。
兼載の病気をきいて、京都でも北野会所奉行(さたのかいしょぷぎょう)の猪苗代兼載の病気が早くなおるように神社に祈(いの)ったり、はるばる関東(かんとう)の古河まで見舞いの使者を送ってきたりしました。