すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -062/197page
岩子が14歳の春、会津若松の叔父(おじ)の家にあずけられました。叔父の山内春瓏(しゅんろう)は、代々会津藩の医者をつとめ、いろいろな学問にもすぐれていました。岩子は、叔父の家の手伝いをしながら、裁縫(さいほう)はもちろん、読書、習字、そろばん、礼儀作法など、叔父の子供とともに教えを受けました。
当時は、江戸時代のおわりのころで、世の中は乱れ、ききんが統きました。そのために、貧しくて子供を育てられない人々が多く、子供が生まれるとすぐに捨てたり、生まれる前に子供を殺すような悪い習慣が、平気で行われていたのです。医者の叔父は、このことを非常に心配し、本に書いたり、町民や農民に説いてまわったりして、この悪い習慣を止めさせようと、努カしていました。
少女岩子は、叔父の仕事を手伝いながら、
「なぜ、人々は、捨子(すてご)をするのだろう。」
「いくら貧しくとも、子供に食べさせることぐらい、できないだろうか。」