すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -073/197page
この間、岩子は、東京深川(とうきょうふかがわ)にある貧困者(ひんこんしゃ)の家をたずね歩き、その苦しい生活ぶりを見てきました。そして、
「貧しい人がかわいそうだから救(すく)ってやるというだけが、貧しい人を救う道ではなく、それらの人々が、自分のカで生きて行けるように、育ててやること が大切である。」と、身をもって体験したのです。
東京で一年間、手伝いながら勉強してきた岩子は、若松に救養会所(きゅうようかいしょ)の分所(ぶんしょ)をつくろうとしましたが、県令(けんれい)(今の県知事)が転任してしまったのでつくることはできませんでした。
しかし、岩子は、自分だけのカでお寺(喜多方市の長福寺(ちょうふくじ))を借り受け近くの身寄りのない老人やみなし子を集め、ここに移り住まわせました。そして、着物を与え、食事の世話をして、貧しい人を救う仕事に全カをそそぎました。