すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -091/197page
斗南(となみ)に生きる
戦いが終わると、家老(かろう)の一人であった夫(おっと)の季昌(すえまさ)は、戦争の責任者(せきにんしゃ)として東京に送られて細川(ほそかわ)家にあずけられました。リンは夫とわかれて、家族の人々といっしょに斗南(となみ)の地に移り住みました。
斗南での生活はとてもたいへんでした。今の青森県(あおもりけん)の三戸(さんのへ)のあたりに住んでいましたが、収入(しゅうにゅう)もなく、食うや食わずのありさまでした。
リンは老母(ろうぼ)をいたわりながら、一家の中心となって働かなければなりませんでした。山に出かけて桑(くわ)の葉をつみ、それをかますに入れて山道を歩いて運んできました。それを、近くの蚕(かいこ)をかっている農家に売って、その日の食べ物を買ってくるのでした。安い値(ね)だんでしか買ってもらえないときもありました。